開発秘話: Ghostbusters: Afterlife in Dreams

ゴースト退治とゲーム開発の共通点とは何なのか? 実は意外にもあるんです。何よりもまず思い浮かぶのが、チームワーク。Media Molecule、Sony Pictures、Dreams Universe™コミュニティの18週間にも渡る協働で実現した、Ghostbusters: Afterlife in Dreamsを2022年2月28日までDreams Universe™内で遊ぶことができます。

Impyアワードを受賞したコミュニティクリエーターGuillaume Chevrier氏(別名SlurmMacKenzie)とAlfred Nilsson氏(別名byvsen)にSNS経由で連絡を取り、すぐにMmの運営および戦略的イニシアチブ担当ディレクターGemma Abdeenとミーティングで話し合いました。「一体何だろう?」 とNilsson氏は当時思ったそうです。「何かすごそうだと思ってたら、Gemさんがプロジェクトの内容を話をしてくれて、自分の役割を聞かされたときはすごくワクワクしてすぐお誘いに乗りました」 Chevrier氏もうなずきこう語ります。「私もです。ゴーストバスターズのプロジェクトだと聞かされたのは、Gemさんと最初に通話したときだったと思います。本当にワクワクしましたね」

『Ghostbusters Afterlife In Dreams』のCRT風メニュー画面。作成: Martin Nebelong、Dan Goddard、Emei Burell。

『Ghostbusters Afterlife In Dreams』のCRT風メニュー画面。作成: Martin Nebelong、Dan Goddard、Emei Burell。

Chevrier氏はゲームプレイのデザインを担当し、Nilsson氏はアニメーションを担当。既に簡単な概要はMmとSony Pictures側で用意されていました。ゲームの長さは60秒、映画『Ghostbusters: Afterlife』の出演陣が叩き出したスコアをファンが超すのを目指すというもの。

Chevrier氏は操作の基本を設定、一人称視点で発射するゴーストバスターズお馴染みのプロトンビームの作成や、周囲のものが破壊される裏ロジック等をたくさん用意しました。Media MoleculeのリードデザイナーRichard Frankeも指揮を執るために合流し、チームがゲームを形作る決定を下す支援をしました。(それと、MmのDreams Universe™スペシャリスト、Martin Nebelongが照明とエフェクトで環境モデリングの一部をブラッシュアップしました) 「ゴーストバスターズの一員になることのコア体験とは何なのか、自問しました」とFrankeは語ります。「私が一番大事なことだと思ったのは、ゴーストバスターズの一員になったとプレイヤーに感じてもらうことです。まず何をするにもゴーストを捕まえるのが正しいことだと感じられる必要があります」

Chevrier氏が作っていた最初のバージョンは、物凄い勢いでゴースト退治をするものでした。「すぐにゴーストを捕まえられました」とChevrier氏。「ゴーストが跳び、現れた瞬間に捕まえなきゃダメなようなものでした。しかし、それではビームを使ってる感覚がなかったのです。そのため何度も修正を加えて、ゴーストが動き回るようにし、プロトンビームで捕らえて戦ってる感じを出そうとしました」

『Ghostbusters Afterlife In Dreams』の舞台となる暗くて恐ろしいボロボロの納屋。

『Ghostbusters Afterlife In Dreams』の舞台となる暗くて恐ろしいボロボロの納屋。

チームは時間を取ってオリジナル作品の映画「ゴーストバスターズ」を鑑賞し、ゴーストたちがどういう動作をし、主人公たちが彼らとどう関わり合うのかというパターンを細かく分析しました。「スライマーの出てくる有名なシーンがあって」とFranke氏は話します。「それを観て、よし、これぞ取り入れたいシーンだと思い立ちました」。ゴーストたちには、最初はこちらに気づかずに飛び回って、それから気づいて動作を始める段になると捕まらないように逃げ出して、いざ「捕獲」の段階ではプロトンビームに捕らわれて、じたばたしてもらう必要がありました。「アイデアとしては、ゴーストにゲージがあってゴーストの行きたい方向と逆方向にプレイヤーが引き寄せるとそのゲージが減るというもので、魚釣りゲームとほとんど同じでした」。エネルギーを十分に減らしてやれば楽にトラップに閉じ込めることができるようになるわけです。トラップは、最初はプレイヤー自身が投げる必要がありましたが、ほどなくチームは、それも自動にすればタイムアタックをもっとスムーズに楽しんでもらえることに気づきました。

当の新作映画の内容はほどんど窺い知ることができませんでしたが、アニメーション作成の元として、Ghostbusters: Afterlifeの一部カットは観ることができました。「すごく短いクリップがありました。そのなかで新しいゴーストや、未完成でしたがエフェクトを参照できましたね」とChevrier氏は言います。Nilsson氏もうなずきます。「開発者冥利に尽きますね。普通は制作中の内容なんて見れないわけですから」。これほど大きなシリーズ作品とのコラボレーションです。当然、厳しい秘密保持も求められました。

Nilsson氏はゴーストたちのアニメーションに取り掛かる前段階で、新登場の敵が動いているところは、ビデオ会議のクリップでたった1回見れただけでした。「だから、ゴーストの動きは記憶しなければならなかった。たとえば6本腕のあるマンチャ―の動きとか」。でもどうやってそんなことができたのでしょう?「アニメーションでは、ゴーストの動きを探るために即興的な動作をたくさん使っていましたが、クリップがあって助かりました。それに、後になってもう一度クリップを見れたのが救いでしたね! ゴーストはみんなフワフワッと、カオスな感じでそこら中を動き回ります。それをアニメーションに取り入れるのは本当に楽しかった」

A screenshot of a player using their blue and yellow proton beam to destroy the environment in Ghostbusters Afterlife In Dreams.

A screenshot of a player using their blue and yellow proton beam to destroy the environment in Ghostbusters Afterlife In Dreams.

プレイヤーにゴーストバスターズの一員となっていると感じてもらうためには、ゴーストとのインタラクションが重要なポイントでした。そして、プレイヤーが世界に何かの足跡を残せるようにすることもポイントでした。「プレイヤーにはゴースト捕獲に使うプロトンパックってすごい大ダメージを与えられるんだ、という感覚が伝わってほしかった」とFranke氏は、ホテルの宴会場シーンの後のすったもんだに触れて言います。「あれはたぶん、実際にゴーストを捕らえるのに必要な以上に周りに与えたダメージが大きかったですね。だから破壊できる環境を入れたかった」。Ghostbusters: Afterlife In Dreamsではプレイヤーが行き過ぎたダメージを与えると、最終的な報酬から損害分が差し引かれるようになっています。

そこから、チームは新しい映画に出てくるミニ・マシュマロマンのゲーム内での役割を思いつきます。Franke氏はこう言っています。「私たちの観た映画のシーンでは、ミニ・マシュマロマンはスーパーのなかにいて棚を壊してました。だからやつらが何かの形でダメージを増やすのは理にかなっていると思いました。やつらはなだれ込んできて、周囲の壊れやすい物をそのぽちゃっとした短い脚で蹴りまくる。そのイキなアニメーションはNilssonが作りました」。Nilsson氏はこう言っています。「アニメーションを作る際にはパソコンで彼らのシーンをループ再生していましたね。ミニ・マシュマロマンはボヨヨンと跳ねる感じで本当に面白かった。それでDreamsのパペットも同じようにボヨヨンと動き始めたわけです」

Ghostbusters: Afterlife in Dreams で階段から降りてくるミニマシュマロマンをプレイヤーが退治しているスクリーンショット。

Ghostbusters: Afterlife in Dreams で階段から降りてくるミニマシュマロマンをプレイヤーが退治しているスクリーンショット。

ゴーストを捕まえたり、ミニマシュマロマンのウェーブと戦ったりするコンセプトから、Ghostbusters: Afterlife in Dreams はハイペースでカオスなタクティカル タイムアタック チャレンジになりつつありました。そして、ゴーストバスターズの過去をよりたくさん取り入れました。フランケ:「ある意味、ピンボールみたいにしたかったんですよね。ピンボールで一番の目的はボールをテーブル上から落とさないことですよね?このゲームでの一番の目標はゴーストを捕まえることです。でもそれだけじゃなく、ターゲットに当てる、という2つ目の目標もあって、3つの目標を達成するのはもっと難しい、といった感じです。実は、ゴーストを最低1体捕まえないとミニマシュマロマンは出てこないようになっています。そうやって、1分間を通してゲームプレイを少しずつ難しくしていくんです。そして、決められた数のミニマシュマロマンを撃つと、テラードッグが出現します。」

テラードッグの見た目についてネタバレしすぎると楽しみがなくなってしまうかもしれません。(もちろん、ニルソンは自分がデザインしたテラードッグにとても満足しています。ニルソン:「僕は今まで四足歩行の生き物のアニメーションをしたことがなかったので、テラードッグのアニメーションを作るのが一番難しかったかもしれません。」)でも、ゲームにテラードッグを含むことで昔のピンボールマシンの醍醐味だった秘密やサプライズに対するオマージュができると思いました。フランケ:「メタな話なのですが、僕はみんなでそういう秘密の話をするのが大好きなんです。だからこそ、ピンボールはワクワクするゲームでした。”あの難しい秘密見つけることできた?”ってね。そういう面では昔のテレビゲームに似ていると思うんです。プレイヤーに何か達成したい目標を与えて、またプレイしたいと思ってほしいですよね。ゲームをプレイするたびに少しずつ上手になっていって、スコアが上がって、そして面白い秘密を見つけてほしいんです。」

Ghostbusters: Afterlife in Dreams でテラードッグが歩き回っているスクリーンショット。

Ghostbusters: Afterlife in Dreams でテラードッグが歩き回っているスクリーンショット。

完成したゲームは過去のゴーストバスターズと現在のゴーストバスターズ/アフターライフへの愛が詰まった作品になっています。そして、Dreams Universe™ を使って、たった12週間で完成させたこのゲームのディベロッパーは、ゴーストバスターズシリーズと Dreams Universe™ にどこか似た雰囲気を感じています。おもしろおかしくて、ちょっとヘンテコで、でも誰でも楽しめる。だからこそ、このコラボはとても(スーパー)ナチュラルに感じました。シュヴリエ:「僕はゴーストバスターズシリーズを見て育ちました。僕にとってゴーストバスターズはとても楽しいものだと思っています。不気味だけど楽しい。だから、子供の時に見たら怖いかもしれないけど、悪夢とかは見ないと思います。だって、不気味といっても面白いと思える不気味だから。」ニルソンは賛同し、映画のゴーストの大げさな動きを指さしてその動きが Dreams Universe™ のパペットツールと彼の誇張的なアニメーションスタイルにとても合っていると説明します。

フランケもまた、ゴーストバスターズシリーズと Dreams Universe™ の似ているところを見つけていました。フランケ:「どちらにもちょっとおどけたところがあるんです。例えば、Dreams Universe™ のハロウィンイベントにはゴーストバスターみたいな、不気味だけど可笑しい雰囲気がありました。だから、Dreams Universe™ のコンテンツの中に組み込むのはとても簡単でした。」フランケはもう一つ、このコラボを気に入っている理由があります。フランケ:「もちろん、ディレクターとしていうべきことは...」フランケは笑みを浮かべます。フランケ:「どのブランドでもこのゲームに取り入れることができるということです!このゲームの壮大さとブランドを思いやる心があるからです。Dreams Universe™ はどのブランドでもゲームに取り入れる事ができます!」

Ghostbusters: Afterlife in Dreams でプレイヤーが青と黄色のプロトンレーザーを使ってゴーストを捕まえているスクリーンショット。

Ghostbusters: Afterlife in Dreams でプレイヤーが青と黄色のプロトンレーザーを使ってゴーストを捕まえているスクリーンショット。

多様性や強力なツールのほかにも、ゴーストバスターズシリーズとDreams Universe™が持つ一番大切と言ってもいい共通点があります。そして、このプロジェクトにも同じ共通点があります。それは、コミュニティーと協力です。そして Sony Pictures のチームや Media Molecule、そして Dreams Universe™ を使っている才能のあるクリエイターです。フランケ:「僕たちはゲーム業界の中では大きなスタジオではありません。だからこそ、コミュニティは僕たちにとってとても大切なんです。このコミュニティと一緒に仕事をするのはとても楽しいです。みんなとても素直で純粋だからです。手伝うときも喜んでしてくれるし、このゲームを作ることでお金がもらえるという事をとても嬉しく思ってくれています。だからこそ、みんなが不安なことがあったら、元気づけて、仕事を褒める事は大切だと思っています。」

Dreams Universe™のユーザーガイドはただいま作成中。これからプレイのヒントに関するコンテンツを増やしていく予定なのでチェックをお忘れなく!