Backroomsとは何か、そしてそれがDreams Universe™に現れた理由は?

インターネットやドリームズ・ユニバースの流行に敏感な人なら、とある不穏な空間を最近目にしたことがあるかもしれません。ベージュ色のカーペット、淡い黄色の壁紙、どこにも繋がっていない廊下…ピンときましたか?だとしたら、あなたはBackroomsに足を踏み入れたのです。

Impyアワードにノミネートされた、SyntronicとRobytic作のDreams Universe™ゲーム『The Backrooms』の一場面。プレイヤーキャラクターが明かりを持ち、ベージュ色の廊下を照らしている様子

Impyアワードにノミネートされた、SyntronicとRobytic作のDreams Universe™ゲーム『The Backrooms』の一場面。プレイヤーキャラクターが明かりを持ち、ベージュ色の廊下を照らしている様子

ところで、そもそもBackroomsとは何なのでしょうか?簡単に言うと、この不気味な空間は、“クリーピーパスタ”(インターネット上で広がった怖い話や都市伝説)を目に見える形にしたものです。Backroomsは、現実から異次元へと偶然にも“noclip”(ノークリップ - ゲームの“壁抜けモード”のことです)してしまった人が行きつく場所と言われています。その異次元とは、異様なまでに空虚で、オフィスが迷路となって無限に広がっているような空間です。この時点で、背筋がゾクゾクしてきましたね。そのうえ、そこには自分以外の何かがいるかもしれないと聞くと…

Kane Pixelsが2022年1月に公開したばかりのショートムービー『The Backrooms (Found Footage)』は、YouTubeでの視聴回数がすでに1800万回を超えています。Backroomsというコンセプト自体は数年前からあるものですが、Kane Pixelsのムービーによって近ごろの人気が急激に高まっています。インフルエンサーのJacksepticeyeも、最近の動画ではBackroomsをモチーフにしたゲームをプレイしています。そして今、ブームの再燃はドリームズ・ユニバースにも広がっていて、「人気」フィードをチラッと見るだけで、Backroomsの不気味で陰鬱なデコレーションが見つかるくらいです。ではなぜ、Dreams Universe™のクリエイターたちはBackroomsをモチーフにしたゲーム作りに励んでいるのでしょうか?

DodjesArmy-2005とScript-KitAのDreams Universe™ゲーム『Backrooms: Edge of Reality』の1ステージ目で登場する不気味な廊下

DodjesArmy-2005とScript-KitAのDreams Universe™ゲーム『Backrooms: Edge of Reality』の1ステージ目で登場する不気味な廊下

Script-KitとそのコラボレーターであるDodjesArmy-2005は、BackroomsのWikiに偶然めぐりあい、そのおかげで廃墟を見つけて探検するときの気分がよく分かったと明かします。「Backroomsを題材にした短めのゲームを遊びで作ったんです。Dreams Universe™のデザインのおかげで作業をスムーズに進めて、素早くプロセスを繰り返していくことができました。その点は私たちにとってありがたかったです」プレイヤーがシーンを歩き回れるようにしたのはその頃で、そこから他のアイデアも次々と浮かんだとのこと。「雰囲気がとても素晴らしかったので、この時点でゲームを完成させようと決心したんです」

確かに、開発時の『Backrooms:Edge of Reality』の1ステージ目はなんだか背後を振り返ってしまうような不気味さで、さらに元ネタにちょっとしたアレンジも加わっています。まず、廊下のビジュアルが大きく変わっていて、初期の『サイレントヒル』シリーズの粗いグラフィックで表現されたダークな雰囲気を感じさせます。これは、クリエイターのデザインスタイルに合わせた形にしたそうです。さらに、彼らはゲームに飽きさせないため、いくつかのシステムを取り入れることにしました。「のどの渇きと正気度(メーター)をスパイスとして追加したんですが、テストプレイをしてみると、サバイバルがとても味気ないと感じたんです」とScript-Kitは話します。ステージにある引き出しの中身はランダムに生成され、『Five Nights At Freddy's』に出てくるようなクリーチャー“Lil Thiggy”も登場します。これによって、Script-KitはBackroomsに物資を求めてさまようだけでなく、その怪物からも逃げるというパニックホラーの味付けを加えました。恐ろしいですね。

ベージュ色の廊下(VR)。SkeuomorpheusのDreams Universe™作品『The Backrooms - VR eeriness』より

ベージュ色の廊下(VR)。SkeuomorpheusのDreams Universe™作品『The Backrooms - VR eeriness』より

Script-KitとDodjesの作品は遊びごたえを重視している一方、Backroomsのゲームには驚かせるようなモンスターは必要ないという意見もあるでしょう。SkeuomorpheusのVRゲームである『The Backrooms - VR eerieness』も、その考えが込められた作品のひとつです。「個人的に、Backroomsをモチーフにした作品は、恐怖の存在をにおわせつつも決して姿を見せないことで面白くなると思うんです」と本人。「モンスターみたいな何かが出てきた瞬間、冷めてしまうんですね。『サイン』という映画でも、恐怖がどんどん積み重なっていきますが、エイリアンが姿を見せると拍子抜けしてしまいます」

Dreams Universe™のVR作品のアップデートをきっかけにSkeuomorpheusは実験を行い、すぐにプレイヤーが実際に体験できるBackroomsの試作バージョンを完成させました。「遠くからシンセサイザーの音を小さく鳴らすことで、不気味さが一気に増しましたね」特に、壁から曲がり角へゆっくりと動くカメラワークが使われているデヴィッド・リンチの映画を参考にして、何か恐ろしいものに近付いていく過程を表現できたといいます。そのじりじりとした遅さを実現するためにプレイヤーの動きを遅くし、視線や角を遮り、“変な所にあるコンセント”をたくさん配置することで、不安感を最大限に演出しました。「このようなシーンは箱型なので、スカルプトするのは技術的に難しくありません。Dreams Universe™であればとても作りやすいですね」とSkeuomorpheus。ドリームズ・ユニバースには、何でもない平凡な空間にぴったりな完成済みのアセットがたくさんある、とのことです。「結局、構成しだいでどうとでもなるんです」

Cr9ashのDreams Universe™のVR作品『The Backrooms VR』。薄いピンク色の部屋で作られた迷路

Cr9ashのDreams Universe™のVR作品『The Backrooms VR』。薄いピンク色の部屋で作られた迷路

『The Backrooms - VR eerieness』はその名前のとおり、ほぼ雰囲気だけで薄気味悪さを演出することに成功しています。また、出口がなく、プレイヤーは手動で終了するしかない点も巧妙で、閉塞感を高めるための意図的な演出だと開発者は話しています。そして、Skeuomorpheusはこうも話します。「皮肉な話ですが、私はVRがあまり好きではありません。ややこしいテクニックを使うことになりますし、プラグの抜き差しが面倒なんです。でもBackroomsでもうひと押し不気味な演出をしたいなら、VRはかなり適していると思います。「後ろから視線を感じる」とか「この角はさっきも曲がった気がする」といった感覚は、画面上では表現できませんからね」

duckenomicsのDreams Universe™作品『Liminal Spaces』の1シーン。なぜか車が1台もない駐車場

duckenomicsのDreams Universe™作品『Liminal Spaces』の1シーン。なぜか車が1台もない駐車場

duckenomicsもそれと同じ考えの持ち主であり、「プレイヤーが望んでいるのは不気味でありながら、なじみがあって懐かしさを感じる世界です。テレビゲームはそういった世界を体験するのに最適な手段のひとつです」と語ります。「VRでプレイできれば、さらに効果的です。Dreams Universe™では『Liminal Spaces』のドリームを簡単にVR対応にできたので、そこはDreams Universe™の強みですね」Dreams Universe™で『Liminal Spaces』をプレイすれば、Backroomsの脱出不可能なベージュの壁と再び出会えます。そして、duckenomicsは作品の枠をさらに広げ、リミナル・スペースの概念をより広く感じられるさまざまなシーンを含めたことで、多くの人の心をがっちり掴んだように思われます。その作品の人気は、『The Poughkeepsie Tapes』、サイレンヘッド、『Five Nights At Freddy's』、スレンダーマンといった“アナログホラー”の人気に結び付いています。

「人々に“見たい”と思わせるのは、荒削りであることによってリアルに感じられるものです」とduckenomicsは説明します。「ですが、リミナル・スペースは、抗いがたい懐かしさや親近感を感じさせるという点で、他のアナログホラーとは一線を画しています」特に、作品の3番目のシーンでは、ロッカーが並んでどこまでも続き、不気味な静けさを感じさせる学校の廊下を演出したとのこと。「普段はたくさんの人であふれていて賑やかな場所から人が消えたとします。そこにただ一人残されると、なぜか空間の空白を埋めるかのように自分の思い出が挿し込まれていくものなんです。そうして、何年も、あるいは何十年も使わなかった脳の部分を刺激する不思議な力が、リミナル・スペースの面白さだと思います」

duckenomicsのDreams Universe™作品『Liminal Spaces』に登場する学校の廊下のシーン

duckenomicsのDreams Universe™作品『Liminal Spaces』に登場する学校の廊下のシーン

duckenomicsは、モンスターを登場させるSkeuomorpheusの考え方について、次のように話しています。「私個人の意見ですが、モンスターやドッキリ要素を追加した途端、次にいつ驚かされるのかハラハラしてしまって、リミナル・スペースの鮮烈な親近感に浸れなくなってしまうと思います」ですが、Kane Pixelsの作品を例に挙げながら、そういった要素を上手に組み込んだときの価値も評価しています。「良いリミナル・スペースには、迫ってくるような不気味さがあります。優れたアート作品を眺めていると何かしらの感情が湧いてくるように、リミナル・スペースは感情をかきたてるんです。多くのリミナル・スペースは、漠然とした親近感を感じさせます。その中には、一部の人にとって特に“効く”リミナル・スペースがあるんです」

このように、話をうかがったクリエイターの皆さんは、計算されたうえで生まれる妙な親近感が、Backroomsの人気、そしてリミナル・スペースの力につながっていると考えています。「Backroomsが人気になったのは、ビジュアルが記憶を揺さぶるからだと思います」とScript-Kitは話し、Skeumorpheusも次のように認めています。「誰もいない不気味な空間で、変な居心地の悪さを感じるという既視感は、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか」

JohnnyBiscottiのDreams Universe™作品『Liminal Mystery Box』に登場するらせん階段

JohnnyBiscottiのDreams Universe™作品『Liminal Mystery Box』に登場するらせん階段

誰でも知っている平凡なものを選んで手を加え、気持ちの悪い“別のなにか”を作り出す。それが不気味なリミナル・スペースを作るということの一部だとすれば、そのアイデアがリミックス好きなDreams Universe™コミュニティで人気になるのもうなずけます。「この現象を利用して、今までに感じた感情をよみがえらせる方法はたくさんあります」とduckenomics。「それは非常に抽象的で、取っつきにくいタイプのアートです。私は今後もリミナル・スペースというジャンルを開拓するかもしれませんが、このジャンルの表現にはたくさんの可能性があると思います。だから、ぜひ他の方にも挑戦してもらいたいですね」

duckenomicsは、さらにこう続けます。「Dreams Universe™はどんなものでも作れるツールです。Dreams Universe™でリミナル・スペースを再現するのは楽しいでしょうし、いっそのこと、このジャンルに革命を起こしてみるのもいいでしょう。それがビジュアル重視のショーケースであれ、本格的なホラーゲームであれ、Dreams Universe™なら間違いなく作れるはずです」

  • DrinkWater200のDreams Universe™作品『The Abandoned Waiting Room』

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  • ThebigpierのDreams Universe™ゲーム『Liminal Life [DEMO]』

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  • Tapio_XのDreams Universe™ゲーム『Liminality』

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  • Rammstein53452とmattizzle1のDreams Universe™ゲーム『Liminal (Full Demo)』

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  • flatspiralの作品『I found some weird tapes in the attic』

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  • JohnnyBiscottiの作品『Liminal Mystery Box』

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_ここにスクリーンショットを挙げた作品以外にもBackroomsやリミナル・スペースをモチーフにしたゲームをプレイしたいなら、Dreams Universe™でMmがピックアップした『リミナル・スペース』コレクションをこちらでご覧ください!*

Dreams Universe™のユーザーガイドはただいま作成中。これからプレイのヒントに関するコンテンツを増やしていく予定なのでチェックをお忘れなく!