ドリームビュー: Jungle Bill VR

他の追随を許さないレベルデザインのアドベンチャー・プラットフォームゲーム#

Dreams Universe™で作成された『Jungle Bill VR』のスクリーンショット(一人称視点) Nbeyeler作

Dreams Universe™で作成された『Jungle Bill VR』のスクリーンショット(一人称視点) Nbeyeler作

ゲームを遊んでいて、普通ならありえない場所にたどり着いた時ほど興奮する瞬間はありません。光の当たらない道、あまりにも広い裂け目、そして滝の裏側など...こういった場所では、自分が冒険している感覚をありありと感じられます。そこでは、プレイヤーはその世界、そしてその作り手と対話します。ありきたりな道から一歩外れるたびに、プレイヤーは問いを投げかけます。もちろん、優れた開発者は、それに対する答えを用意しているものです。

Nbeyelerもそんな開発者のひとりで、アドベンチャー・プラットフォームゲーム『Jungle Bill VR』はその巧妙な作りでプレイヤーを魅了しています。本作は『トゥームレイダー』のような冒険や宝探しをイメージしていますが、オオカミに襲われることはなく、二丁の拳銃を持っていない代わりに、二段ジャンプができます。ジメッとしたジャングルがプレイヤーの周りでざわめき、生い茂った森に落ちる木漏れ日の中には遺跡が眠っています。迷宮のようなレベルデザインによって、プレイヤーは角を曲がるたびに奥へ誘われ、しばしば驚くべき場所へとたどり着きます。このゲームの目的は、その舞台を制覇することではなく、そこをより良く知ることです。Nbeyelerは、プレイヤーと世界との間に会話が起こるような空間を見事に作り出しています。

Dreams Universe™で作成された『Jungle Bill VR』のスクリーンショット(一人称視点) Nbeyeler作

Dreams Universe™で作成された『Jungle Bill VR』のスクリーンショット(一人称視点) Nbeyeler作

Nbeyelerは、Dreams Universe™での創作活動の他にも、ラスベガスの伝説的なショー『Absinthe』のビジュアル・パフォーマンス・アーティストとして活躍していて、彼らの観客の注意を引く技術は確かなものです。そして見事に、ショーの舞台で得た経験を、『Jungle Bill VR』というインタラクティブな空間に落とし込んでいます。一番の特徴は、プレイヤーが〇ボタンを押すことで、一人称視点と三人称視点をいつでも切り替えられるようにしたことでしょう。これは実用的な機能で、特に越えるのが難しいエリア(宝が隠された寺院には、ギシギシときしむ木の風車が配置されている難所があります)では、ゲームが進めなくなるリスクを最小限に抑えるために、三人称視点でプレイすることできます。一方、一人称視点に切り替えれば、特定のエリアをより入念に探索できます。こちらの視点では『Jungle Bill VR』が裏で意図するところ、つまり「ここはアイテムを目指して全力で走り抜ける場所じゃなく、じっくりと見て回って、色々と試すべき場所だ」ということが強調されます。特にVRでは、視点を変更するだけで息を呑むほどの感動を味わえます。精巧に作られたシーンの中であちこち飛び跳ねていたかと思うと、次の瞬間には「そこ」にいて、草木に覆われた寺院を畏敬の念を覚えながら見上げているのです。

Dreams Universe™で作成された『Jungle Bill VR』のスクリーンショット(一人称視点) Nbeyeler作

Dreams Universe™で作成された『Jungle Bill VR』のスクリーンショット(一人称視点) Nbeyeler作

さらに何よりも注目すべきは、Nbeyelerが発想力と技術力の両方を活かして実現した、圧倒的なスケール感です。岩だらけの道の先にある洞窟や、アーチに囲まれた巨大な像など、さまざまな景色が意図的に配置されていて、次のプラットフォームエリアへ向かう前にそこへ立ち寄り、広大なエリアの新たなルートや隠されたアイテムを探したくなる気分にさせてくれます。さらに、世界をはるか高みから見下ろす木の橋を渡っていると、何層にも重なった建築物が眼下へ落ちていく様子が見られます。Team Icoの作品を彷彿とさせるその光景を見て初めて、Nbeyelerがどうやって、こんなにも高さを感じさせるシーンを演出したかを理解できます。小さな敷石を拡大して壁として再利用したり、階段を縮小してちょっとした装飾にしたりすることでメモリを節約しているのも、そのための努力のひとつと言えるでしょう。

Dreams Universe™で作成された『Jungle Bill VR』のスクリーンショット(三人称視点) Nbeyeler作

Dreams Universe™で作成された『Jungle Bill VR』のスクリーンショット(三人称視点) Nbeyeler作

つまり、Nbeyelerは、細部にこだわりながら、プレイヤーの好奇心を先取りして積極的に応えようとする、どこまでも懐の深い作り手なのです。プレイヤーが禁止ルートを通ったつもりでも、崖の隙間に入り込んでしまったと思った時でも、Nbeyelerはそこに必ず輝くコインや特別な景色を用意してくれていて、画面の向こうで微笑んでいるのでしょう。

総評: VR対応のアドベンチャー・プラットフォームゲームで、探索をメインに(Jungle Bill、ゴメンね)据えた、驚くべきスケールの作品です。

あとでプレイ

(Dreams Universe™本体が必要です)

Dreams Universe™のユーザーガイドはただいま作成中。これからプレイのヒントに関するコンテンツを増やしていく予定なのでチェックをお忘れなく!