Moleculeプロフィール: Dave Campbell
Dave CampbellはMedia Moleculeでアニメーション制作を続けていますが、彼の場合、同じ日は2度とないと言っても過言ではありません。今回は、DaveのMmでの仕事内容と、アニメーションの世界に入ったきっかけ、歩行サイクルのアニメーションとファッションショーのモデルの似ている点などについて語ってもらいました。
こんにちは、Dave!Media Moleculeでは、どんな仕事をしていますか?
Mmではシニアアニメーターとして、キャラクターやアニメーションリグの作成、エフェクトのアニメーション化、そしてロジックシステムを用いたあらゆる動作を担当しています。これは、ムービーやキャラクターベースのアニメーション、さらには絵を描いたりペイントツールを使ったりする前の作業です。アニメーションに関わることなら、どんなことにも携わっていますね。
では、アニメーションの世界に入ったきっかけは何でしょうか?昔からやっていたことなのか、それとも、キャリアパスとして面白そうだと思ったということでしょうか?
もともと興味のある分野でしたし、就職説明会では、自分の出身地であるウェールズがアニメーションを学ぶのに適しているとアドバイスを受けました。当時ウェールズには、その分野の素晴らしい講座が2つあって、それで、「応募してみようかな」と思ったのがきっかけで、映画のアニメーションに関わりたいと強く思うようになりました。ですがその後すぐ、ゲームでのアニメーションの方が自由度が高いことを知って、「じゃあ試しにやってみようかな」と思ったんです。履歴書とポートフォリオを持って、ゲーム業界の採用説明会に参加してみたら、それで就職が決まりました。そこで初めて仕事をしたのですが、1年間ゲーム業界で働いてみると、それがあまりにも楽しくて、わざわざ映画業界に進む気はなくなっていました。「ここで上手くいってるし、面白い」と思ったんです。それ以来ずっとゲームのアニメーションに携わっています。
Dreams Universe™でのアニメーションは、今まで使ってきた他のエンジンでのアニメーションと違いますか?
ええ、かなり違いますね。毎回リアルタイムでフィードバックが得られることが大きな違いのひとつですが、これはアニメーションに関して言えば本当に凄いことです。他のアプリケーションでは、一定のフレームレートに合わせてアニメーションを作ることになります。問題なのは、通常その場合、エンジンにそれをコンパイルして、それからそれ以外のものすべてを入れ込んだエンジンも同時に走らせることになります。そこのところ、Dreams Universe™ではエンジン自体の中でアクティブにアニメーション化できるんです。再生ボタンを押すとすぐに、アニメーションのタイミングが、他のすべての要素や音楽、そしてゲームを動かす物理演算などと一緒に確認できます。Dreams Universe™のフィードバックの早さは間違いなく優れていますね。
アニメーション関係で働こうと考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
もともとゲームに興味があったし、映画も好きだったのですが、学校に通いながらも自分が実際に何をしたいのかは、はっきりしていませんでした。好きなことは分かっていたので、そういうことを仕事にしたいと思っていました。それから、自分がアニメーションについて教わったことのひとつに、「アニメーションは事実上の演技である」ということがあります。いうなれば、映画を撮っているようなものです。実際のものではなく、仮想のカメラの後ろに立つわけですが。つまり、アニメーションという手段を通じて、キャラクターの演技を見せたり、ムービーの中で物語を描いたりしているんです。このメディアで物語をつづるということに、私はとても興味を持ちました。それで、ストップモーションアニメでも、手描きでも、CGIでも(個人的にはCGIの方が自分に合っていると思いますが)、何でも構わないのでこの道を追い求めて、その先に何があるか確かめたいと思ったんです。
今はアニメーションだけでなく、ゲーム自体や映画自体の制作を学べる講座や方法もたくさんあります。この分野に入ろうと思ったときに、そういうものに手は出さなかったのでしょうか?
ゲーム制作とまではいかなくても、アニメーション制作を学べるツールは確かにありました。大学で学んで良かったと思ったのは、手始めに触るべきアプリケーションを具体的に教えてくれたことでしょうね。「アニメーションをやりたいな」と思っているだけの自分に、そういったものは本当に役に立ちました。膨大な数の学習リソースがあるため、一つの分野に集中することが難しくなって、時間を無駄にしてしまう可能性もあります。なので、「あなたの学ぶべきことを学ぶなら、この道を進むといいですよ」と言ってくれる人は貴重でしたね。
Dreams Universe™もアニメーションを学ぶには素晴らしいツールで、これに触れたとき、少しそのことを思い出しました。ソフトの中に基本的な原理やツールがすべて入っていて、それを使いやすい形、あるいは覚えやすい形で提示してくれます。ですので、これからアニメーターを目指す人は、Dreams Universe™を使って2つのことが可能です。ひとつ目は、自分のやりたいことを形にすることに継続的に挑戦できること。もうひとつはDreams Universe™で学んだことをより幅広いバーチャルエンターテインメントに応用することです。その点で、本当に役立つツールだと思います。このことを広める手伝いができるのもそうですし、「CGIアニメーションを作るには何を学べばいいんだろう」と思っている人たちに、「まずはここから始めましょう」と教えられることは嬉しいですね。そうやって誰かを導けるのは良いことです。
先ほどの話にちらっと答えが出ていたかもしれませんが、これからゲームアニメーションの世界に飛び込もうとする人にアドバイスをお願いします。
大事なのは、今まで作った作品をしっかり紹介する動画を用意することです。さらに、その動画をまとめるときには、自分がその動画に何を求めているのか、それを見た人に何を感じてほしいのかを意識してください。私はこれまで、さまざまなクオリティの紹介動画をたくさん見てきました。たしかに、ビジュアル的にも素晴らしい動画を作らなければなりませんが、その動画にオリジナリティを出せるのは作った本人だけなんです。自分が特に印象深く感じるのは、歩いたり、走ったり、何かに触れたりと、必ずしも目に見えるアニメーションだけでなく、そのアニメーションを作っている人のちょっとした個性であり、そうしたものが作品から感じられることです。例えば、恐竜どうしのバトルをアニメーション化した人の紹介動画を見たのですが、それを見て、作り手のことがよくわかりました。他にも、それと比べると基本的な内容なのですが、歩行サイクルなどの諸々が見られる紹介動画もあって、これはこれで素晴らしいと思いました。ですが、私にとってアニメーションとは、自分を表現する機会であり、非常に完成度の高い紹介動画の中で、作り手がどのように自分を表現しているかを見られると、とてもワクワクしますね。
つまり、アニメーションの才能そのものをアピールするのと同時に、興味のあるアニメーションを通して自分の個性をアピールするということですね。
はい、その通りです。ただし、注意する面もあります。アニメーションの伴奏に、例えば壮大すぎる曲を選ぶと、「この作品には見どころがある」ではなく、「あ、この曲いいな」と思われてしまいます。ですので、作品に合う音楽を選ぶ必要があるんです。視覚的に何を表現するかが重要ですから、聴いて喜ばせるものよりも、見て喜ばせるものがいいわけです。アニメーターとして歩んできた道のりを、どんな形であれ表現できる方法を見つけることが大事です。
私個人は、自分の紹介動画が完璧にはほど遠いとしても、それを誇りに思っています。なぜなら、それはウェールズでアニメーションを学び、CGで何ができるかを考え、それを応用して現在に至るまでの道のりを、Dreams Universe™でのアニメーション制作例も含めて伝えるものだからです。だから、今に至るまでに何をやってきたかという広がりが生まれるうえに、そのアニメーター以外には語れない物語になるんです。それこそがオリジナリティの源です。なので、自分の経験に寄り添い、とことんまで突き詰めて、それを楽しんでほしいですね。
今のお話で気になったのですが、Mmの一員になるまでに制作した紹介動画では何を見せたのでしょうか?
私が最初に作ったアニメーションのひとつは、通常の歩行における重さとキャラクターの原理を紹介するための、キャラクターがその場でただ歩くだけのアニメーションだったと思います。でも、キャラクターが片方の眉だけを上げたり、横を向いてちょっとウインクしたりと、別の動きもプラスしていましたね。それから、振り返って、また歩き続けて、ちょっと違うことをさせました。大学を卒業する直前に作ったにしては、まあまあの出来の歩行サイクルでした。他にも、ピッチャーが野球ボールを投げて、バッターがバットを振って、ピッチャーの頭にボールがぶつかって倒れるというアニメーションもありました。
それはごく初期の例ですが、最後になると自分の好きな映画の音声を抜き出して、それに合わせて演技をするアニメーションを作りました。今になって振り返ると…他にやりようがあったのではと思ってしまいますね。ですが、そのときは動画に含めるのに十分な出来と思っていました。これらのサンプルは、時間をかけて徐々に自分の動画から外され、もっと誇りに思える作品に置き換わっています。MmでDreams Universe™を開発しているときに作ったものや、自分が携わったゲームのアニメーションなどですね。それは、アニメーションの裏側にいる人々と同じように、何度も繰り返すプロセスなんです。でも、昔を振り返って、どこまで成長できたのかを実感できるのは楽しいですね。
その通りですね。その歩くアニメーションのサンプルは、お話を聞いた限りでは、ファッションショーで歩くキャラクターが時々ポーズをとっているかのように聞こえますね。
まさにそうなんです!ファッションに興味がある人は、キャラクターが歩くのを止めて、ちょっとポーズを取らせて、クルっとターンさせてみたくなると思いますが、そういうクールなものです。その動きで歩行サイクルを見せるのですが、これは応募してもらったとき、私たちがアニメーションで確認したいことです。さらに、演技やキャラクターについて学んだことを少しばかり表現できるので、実力を見せるのにも役立ちます。
Mmスタッフの机の上には、面白いものがたくさんあるようです。今のあなたの机には何がありますか?
今は複数のスタジオを行き来している状態なので、ちょっと申し訳ないような気もしますが、机の上には2つの植物が置いてあるぐらいです。今、モニターの横でシダが育っているんですが、もうひとつの方は何なのかさっぱりわかりません。南アフリカ産の植物だと思うのですが、週に1回程度水やりをすれば他に世話はいらないので、そのまま置いています。園芸が得意ではないので、机に植物を並べるなら、できればほぼ手のかからないものが好みです。植物をいくつか置いているのは、身の回りで自然を感じたいからですね。
それには心から同意します。自分たちのオフィスでも、たぶん育てるより多くの植物を枯らしてしまいましたが。最後に、Dreams Universe™でお気に入りやお勧めの作品はありますか?
ドリームズ・ユニバースを眺めていると数えきれないくらいの作品がありますが、特にbyvsenが手掛けたアニメーションは秀逸なものばかりです。BoとGreen Guyが出てくるものは、自分はよく作られたキャラクターが好きなため、そのどちらも短編映画のベースにできるような素晴らしい出来栄えなので本当に大好きです。その2つのキャラクターをベースに、一連のアニメーションを作ったというのは、かなりすごいことだと思います。短いアニメソングから始まり、雪だるま式に増えていく本格的なアニメーションシリーズはとても印象的ですね。
それから、「Noguchi's Bell」もこれ以上なく素晴らしい作品です。Dreams Universe™での本格アニメシリーズの最高峰ではないでしょうか。これらのエピソードの作り込みのレベルには驚かされますし、本当に凄い出来だと思います。
お勧めしたいドリームといえば、「親指」シリーズ(Dancing Thumbs、Thumbs Train、Thumb's Songなど、arseny3d作)もあります。ドリームズ・ユニバースで「親指(thumbs)」と検索すると出てくると思いますが、基本的にはプレイヤーがコントローラーで大まかに操作できる、ひとつのカメラアングルからの短いキャラクタースタディで、親指に2つの目がついているだけのキャラクターなのですが、そこから得られる感情の幅には目を見張るものがあります。『Creature Comforts』や全盛期のAardmanの作品などを思い起こさせるだけでなく、手作り感もしっかり伝わってきます。そして、Dreams Universe™特有のパペットの効果もしっかり使っています。
Dreams Universe™のアニメーションを見ていて思うのは、他では必ずしもできないことがソフトの中でできるのが魅力だということです。そして、この可愛らしい目のついた親指は、Dreams Universe™でしか生まれない良いキャラクターなんです。文字通りのドリームではありませんが、ソフトの画面上では100万ドルの価値があるように見えます。そして、Dreams Universe™の多くの作品がそうであるように、見終わった後に「さっきのは何だったんだ!?」と思わされるんです。
Dreams Universe™のユーザーガイドはただいま作成中。これからプレイのヒントに関するコンテンツを増やしていく予定なのでチェックをお忘れなく!