Moleculeプロフィール: Catherine Woolley
Catherine WoolleyはDreams Universe™のデザインに大きな役割を果たしています。もちろん一人ですべてを作り上げたわけではありません(そんなことができたら、とんでもなく凄いことです)が、Media Moleculeのシニアデザイナーとして、Dreams Universe™に命を吹き込むコンセプトとシステムを作り上げるチームで腕を振るってきました。優れたゲームデザインの背後にある方法論、ユーザーテストの重要性、そしてデスクの上の世界で一番(*)ふにゃふにゃのパンダについて、Catherineが話してくれました。
*たぶん。
よろしく、Catherine! Media Moleculeでは、どんな仕事をしていますか?
役職はシニアデザイナーです。あと2週間ほどで、Media Moleculeに入社してから5年になります(インタビュー時)が、その間、Dreams Universe™のさまざまなパートに携わってきました。入社当初は「アートの夢」を担当し、その後チュートリアルチームに移ってチュートリアルやマスタークラスを担当しました。また、Dreams Universe™での制作方法をユーザーに知ってもらうためのハウツー動画を作っていたこともあります。
あとは、様々なキットもデザインしました。例えば、おかえり、ウェルカムガーデン、古代の寺院、Ancient Times、それにAncient Dangersなどがそうです。キットそのものの全体に携わった後、ステージやエレメントも制作しました。その後、また教えることに戻って、Kevinと一緒にドリームメイキングのリニューアルのアップデートを行ったり、ダンジョン探索ゲームのテンプレートと同時進行で制作された2Dプラットフォームゲームのテンプレートを作ったりしました。
現在はTrenキットのデザイナーとして、Trenがプレイヤーにとって最高のものになるように企画し、最高の写真を撮り、最高に面白い説明を書く仕事に取り組んでいます。このキットには多くのエレメントが含まれているので、やることはとても多いのですが、なんとか、とてもいい感じに仕上がってきたところです。Dreams Universe™のアーリーアクセス版、そして正式リリース版のチュートリアルが公開できた時は、「これからこのチームで何をするんだろう、まだユーザーに教えることなんかあるのかな?」と思っていました。でも、キットを作るチームに移行して、ユーザーがゲーム内で使うものを使いやすくするという仕事ができるようになったのはとても良かったと思います。
Dreams Universe™の中で、仕事として特に好きな部分や、デザインしていて楽しかったところはありますか?
特に印象に残っているのは、カスバートのキャラクターをデザインしたことです。カスバートの顔になる専用のチップが必要だったので、まず私がいくつかデザインしたのですが、Francisがそれに魔法をかけて、元の倍ぐらい素敵な見た目にしてくれたんです。私はコニーとカスバートの関係性が大好きで、コニーはカスバートに対して意地悪だと見せかけて、本当はお互いのことが好きなんですよね。
それから、「ウェルカムガーデン」や「Ancient Dangers」を作るのも、とても楽しかったです。でも、やっぱりユーザーに何かを教えるのはとても楽しい仕事で、Twitchでリニューアルアップデートを発表して、それまでより気軽に遊べるようになったのを見てもらった時なんかは、みんな大盛り上がりで喜んでもらえて嬉しかったです。でも、Mmでは、ひとついい仕事をしたら、次はまた別のいい仕事に取り掛かるんです。それはDreams Universe™も同じだと思います。
たくさんの仕事を抱えていますが、平均的な一日のスケジュールはどんな感じですか?
というか、平均的な一日というのは存在しないですね。その時々の仕事内容によって、全然違うんです。在宅勤務ではチームのみんなと連絡を取り合うことが非常に重要なので、常に誰かとチャットしています。それから、何か今すぐ対処しなければいけない問題や、その危険がないか目を光らせています。バグの修正を担当している時は、深刻なものがないか確認します。
それがなければ、Trenの新しいエレメントたちを詳しく見て、新しい何かを追加できないか考えます。それから、実際のプレイで色々と試して、その写真を撮ったりもします。ただエレメントの画像を見せるだけでなく、実際に使っているところがわかる構図でスクリーンショットを撮って、見た人に「ああ、こうすればいいのか、あれとも組み合わせられるな」と思ってもらいたいんです。あとは、新しいステージがリリースされたり、ゲームがアップデートされたりした後は、早速プレイしてフィードバックすることもあります。
ゲームプレイのデザインとステージデザインではどちらが多いですか? 両方ですか?
Trenに関しては、常に深いステージのデザインをしているわけではありません。ここ数年の仕事はゲームプレイのデザインに特化していますが、Media Moleculeに来る前まではステージデザインの方に重点を置いていたかもしれません。でも、「Ancient Dangers」では、他のあらゆる要素と並行して、戦闘システムやバーサークシステムなども作っていました。今まで携わったキットでは、私の仕事はキュレーションの方に重点が移ってきていますが、それでもバグの修正や手直しなど、ゲームプレイデザイン寄りの作業をすることもあります。
ゲームデザインの仕事で、何か特別な方法論や独自のやり方は持っていますか?
それは完全に、その時作っているものによりますね。でも、大抵の場合は、最初にどんなアイデアも紙に書き出してマインドマップを作ります。これから作ろうとしているものについて、考えていることを書き出していくんです。そして、そこから生まれるプラス面、マイナス面、プレイヤーに対する説明不足になりそうな部分などを考えます。例えば、ある要素を入れないと全てが崩壊してしまうようなものもあります。Dreams Universe™はとても手軽に使えるので、すぐに試作品を作ってみることができるし、それをデフォルトのパペットやテンプレートを使ってテストするのも簡単です。特殊能力のような、テストが必要なものは必ずデモを作り、試作段階での挙動や有効性を確認します。
その後、見た目を整えていくこともありますね。最も重要なのは、正式に公開する前に、自分以外の誰かに見てもらうことです。自分のデザインが意図した通りに機能しているかどうかを知るには、これが絶対に必要です。先にフィードバックをもらえれば、それを反映することを繰り返して改善できます。デザインはこの繰り返しが全てなので、常に他の人からのフィードバックが得られるようにしておくべきです。完璧なアイデアだと思っていても、自分では気づけていない意味合いや問題が含まれてしまっていることもありますから。
Dreams Universe™のようなゲームの使い方というのは、他のゲームを作る時にも役立ちそうですが、それをユーザーに教えるシステムを作る難しさはありますか?
過去にもゲームのチュートリアルを担当したことはあったのですが、その時に教えていたのは遊び方でした。作り方を教えようとしたことはなかったので、まったく別物でしたね。有難いことに、チュートリアル制作チームは、全員でベストな方法を模索することができるチームでした。そのベストな方法というのは、主にユーザーテストの繰り返しですね。何度もユーザーテストを行って、自分たちの作っているものを洗練させていったんです。ある時は、それまでのものを一旦捨てて、新たにやり直したこともあります。その時は少し怖かったですが、最終的にとても素晴らしいチュートリアルができたので、それがベストだったということになりますね。難しいのは、新しいもの、古いもの、異なるものが混在することで、ユーザーに負担をかけないようにすることです。これは非常にデリケートな作業です。プレイヤーテストが欠かせないのは、開発者の側はプレイヤーが特定のやり方でプレイすることを期待しているのに対して、実際は決してそうではないからです。
つまり、すべてを繰り返しテストしなければいけないのでしょうか?
そうですね。それに、自分からプレイしようとは思わないような人たちにもプレイしてもらって、ものすごく難しいとか、さっぱりわからないと思われるのかどうかも確かめます。Dreams Universe™の場合はこれが難しくて、私たちが作ったチュートリアルは中級と上級のものだったので、得られた結果を少し割り引いて考えなくてはいけないんです。だって、現実的には、上級のチュートリアルは上級のドリーマーが見るわけですからね。そして、上級ドリーマーはDreams Universe™についてそれなりの知識を持っていると思いがちですが、それもまた絶対ではありません。
どうしてゲーム業界で働くようになったんですか?
私の経歴はかなり普通だと思います。でも、学生時代は、自分が何をしたいのか分かりませんでした。これを読んでいる人に伝えたいのは、やりたいことが分からなくても大丈夫だということ。16歳ですべてを把握しておく必要なんてないんです。私の双子の妹のCharlotteもMedia Moleculeで働いているのですが、2006年に彼女が大学で取れる様々な学位を眺めていて、ゲームデザインの学位を見つけたんです。私はそのゲームデザインの学位に飛びついて、2009年に主席で卒業しました。それから3週間で就職できたのはラッキーだったと思いますが、ゲームの世界に足を踏み入れるのは、人によってはあまりやりたがらないことかもしれないと感じます。でも、私にとっては、ニンテンドーDSで子ども向けのインタラクティブな絵本を作るというのは素晴らしい仕事に思えたんです。それで、試しにやってみようと思って、気がついたら今年でデザイナー13年目になっていました。
ゲーム業界で働きたい人、特にゲームデザインの仕事がしたい人に、アドバイスはありますか?
まず、もしあなたの年齢が10歳から18歳なら、11月に再開されるBAFTA Games(新しいタブで開く)とBAFTA Young Games Designer(新しいタブで開く)の2つのコンテストをぜひチェックしてみてください。プレティーンから18歳までの皆さんがゲーム業界の知識や情報を得るには、Into Games(新しいタブで開く)のようなサイトがとてもおすすめです。それから、当たり前のことを言うようですが、インターネットを活用しましょう。本当に多くの情報が得られますから。2006年という古い時代にはゲーム開発に関する情報はとても少なくて、私はあまり恩恵を受けられませんでした。
でも、今はDreams Universe™のようなものを使って、ゲームコンセプトを作ってみることもできます。作ったゲームについてツイートするときにMedia Moleculeのハッシュタグをつければ、誰かがチェックしてくれるでしょうし、Mm Pickに選ばれたり、他の誰かが気づいてくれるかもしれません。ドリーマーが作った作品が他の会社の目に止まって採用されたこともあれば、Media Moleculeでもドリーマーを採用したことがあるんですよ。
あとは、ゲームデザインやゲーム制作の基本的な考え方を教えてくれるYouTubeチャンネルやブログがたくさんあるので、そういったものを入門に使うのもいいと思います。もし大学に行きたいのなら、絶対に損はしないので、行った方がいいです。私は、大学で人との関わり方をたくさん学びました。スキルも身につきましたが、他の人の仕事の仕方や、他の人と一緒に仕事をすることを学べたのが何より大事だったと思います。
Media Moleculeのスタッフは、みんなデスクに面白いものを置いていますね。今、デスクには何を置いていますか?
特に言うほどのものではありませんが、メガネを置いてますね。メガネを使っている人にはあるあるだと思いますが、デスクの上には必ずいくつかメガネが置いてあるんです。でも、そんなに頻繁にかけるわけではないので置きっぱなしはダメですね。あと、ふにゃふにゃのパンダと、ちょっと変なのですが、今、PS1のメモリーカードの山が2つあります。ふにゃふにゃパンダは超可愛くてお気に入りです。ストレスボールみたいなもので、昔はいい匂いがしたんだけど、今はもう香りはなくなっています。それに、猫が机の上に座るので、その毛にまみれてますね。PS1のメモリーカードも毛だらけ。「デジモン」のメモリーカードと、PS1の純正メモリーカードが積み重なっています。昔からかわいいものが好きで、ワークスペースには絶対かわいいものがあってほしいですね。
最後に、Dreams Universe™ゲームのお気に入りや、おすすめしたいものがあれば教えてください。
こういう時、いつもRbdJellyfishのDefinitely a Fashion Showのことを話すし、彼に会った時も言ったんですよ。本人は、「なんですごく変なものばかりウケるんだろう!?」って言ってましたけどね。本当にすごく変なゲームで、イントロがすごく不気味なんですけど、スティックとショルダーボタンで、キャットウォークの上にいるキャラクターにポーズを取らせるゲームなんです。過去にプレイした変なゲームを色々思い出させてくれて最高だし、Dreams Universe™から生まれる変なものは大好き。Dreams Universe™で私が魅力を感じるのはそこなんです。
それから、Burger Flipperも好きです。ほらね、変なものばかり好きでしょう? 作者はredep1994。ハンバーグをひっくり返すという、バカバカしくて変なゲームです。でも、音楽とミュージックビデオでは、GrimPinata136の"Please Stand By"がとても好きです。これはSaucelessOneのTelepathsという曲に合わせて作られたもので、コンピュータの顔をした人たちが空中で動き回っている、とてもシュールで素晴らしい作品です。
しばらく前にプレイしたdanikakaのPatient Patrolは、病院が舞台である点を除けば、私が10代の頃にたくさんプレイしたゲームに非常に似ていましたね。Dreams Universe™で何かプレイすると、興味のあるものが目に入って、次はそれをプレイして… というサイクルが終わらなくて、「後でプレイする」リストがどんどん増えていくんです。時々、自分がプレイしたものを思い出すために、過去の「いいね」を見返さないといけないこともあります。でも、本当に驚くほど素晴らしいゲームがあるし、Dreams Universe™で出会う全てに感謝しています。Jenのツイートに注目すること、そしてもちろんインプサイダーを読んで、次々に発表される凄いものにアンテナを張っておくことを何よりもオススメしたいです。私はいつもそうやって、次にプレイするべき面白いものをキャッチしてますよ。
Dreams Universe™のユーザーガイドはただいま作成中。これからプレイのヒントに関するコンテンツを増やしていく予定なのでチェックをお忘れなく!